34.Pierre Medical S.A
O'NYX, O'NYX plus
1.特徴(図III-34-1)
 Respironics社の登録商標であるBiPAPに代表される低侵襲性の人工呼吸療法は、換気が不確実な欠点がありながら、人工気道によらない換気法の利点が評価されて、現在では不可欠の療法として注目を集めている。この分野ではO'NYXはフランス生まれの強力なライバル商品である。O'NYXはシンプルであるが、 O'NYX plusは独自の呼吸モードを装備したお国柄を連想させるユニークな機器であるが、その分だけモードの概念が複雑でやや難解である。
2.性能
 モード......... 
  O'NYX ;   SV, ACPV
         +PEEP
  O'NYX plus ; SV,SV+f mini, VS+f mini, ACPV, ACV
         +PEEP
 最大流量.....150 LPM
 吸気圧.....3〜40 hPa
 PEEP........3〜15 hPa
 呼吸回数...4〜40 BPM
 トリガー...0.4〜3 hPa
 Vti..............0〜1000 ml
注; SVはSpontaneous Ventilationの略で自発呼吸モードの意味で、PSは Pressure Supportの略である。つまりSV,SV-PEEP-PSの実体はPSV+PEEPである。 f miniはPSVにおいて自発呼吸がなくても最少呼吸回数を設定できる機構である。 ACPVは Assist Controlled Pressure Ventilationの略でPCVを意味する。 ACVは Assist Controlled Ventilationの略で、Assist/Controlと同義を目的とする、Siemens Servo-300のPRVCと類似のモードである。換気圧はPEEP+3pH2Oより設定値の範囲で換気量が一定になるように自動調節される。つまり換気圧が不必要な場合にはできるだけカットするように作動するので、換気量が設定値以上になることはまずありえない。一方、 Minimum insufflated VtもACVと類似であり、またSiemens Servo-300のPRVCやVSと類似であるが、圧が調節される範囲が設定値より設定値+10pH2Oの範囲である点が相違点である。つまり換気量が設定値以上になるのを許容し、換気量が最少値以上になるように作動する。ACPVと SV-PEEP-PS+f miniの両モードに付加できる。SV-PEEP-PS+f miniに付加した場合はVS+f miniと表示される。
3.機構の概略(図III-34-2)
 ブロアーは圧発生器としての特性があるので、ブロアーを駆動源にすれば、圧換気式人工呼吸器を簡単な機構で構築できる。つまり、ブロアーを駆動するモーターの回転数を調節すれば、発生する圧を調節できる。(1)圧センサーPと流速センサーDの情報に基づいてブロアーの出力を電磁弁V4とそれの支配下のV1で開閉して吸気ガスとする。(2)PEEP圧もコンプレッサーとS(leak restriction)の合成で作成する。(3)呼気弁駆動圧切り替え弁V3は吸気時にはブロアーの圧を呼気相ではcompressorの圧(PEEP)をV2,V5に加える。(1)〜(3)の組合せにより多彩な圧換気モードが実現可能になる。ブロアーの出力は吸気相では吸気ガスになるが、呼気相でも患者回路のリークでPEEP圧が変動しないためのバイアスフローになる。このガスはバイパスBを経て患者回路に供給する。必要以上のガス圧はV2,V5より大気に放出する。                           
4.操作(図III-34-3)
 O'NYXでは換気圧やPEEP、等の基本的な項目は直接つまみで設定する。その際には、つまみを押して回わす。例えばPEEPのつまみを操作すれば、PEEP設定画面に表示が切り替わる。それ以外の項目(モードやトリガー感度、等)は、液晶画面の表示を見て設定する。メニューキー(▲と表示されている)はNEXTを意味し、このキーを押すと次々と設定画面が現れる(モード設定画面、Vt mini設定画面、トリガー感度設定画面の順)。VALIDは有効、妥当を意味する形容詞で、このキーを押すと確定される。トリガー感度設定画面のように数値設定が必要な場面では、▲を押せば数値は増加し、▲とVALIDを同時に押せば、数値は減少する。数値が適切な値になればVALIDを押して確定する。
 具体的な設定操作は以下の手順で行う。最初につまみにより、PEEP圧、PSV圧、換気回数、End of Iを設定する。End of IはACPVのようなtime cycleモードでは、吸気時間を規定する。60秒を換気回数で割った時間の%値が吸気時間になる。SVモードでは通常はnon activeが表示され、無効状態で数値設定は意味がないが、activeにすればPSVでの吸気終了認識条件(terminal flow rate)も設定できる。次にメニューキー(▲)を押して設定画面に入り、▲とVALIDの操作で、モードを選択し、確定する。次はトリガー感度設定画面で感度を設定する。最後は標準画面になり、設定項目が表示される。
 O'NYX plusでも基本的にはO'NYXと同じであるが、メニュー構造が機能の分だけ複雑になっている。選択したモードによっては、Vti、トリガー感度、アラーム設定画面が現れるので、順次これらを設定する。 
5.メンテナンス
1)ダストフィルターは週に一回は洗浄する。
2)マスクは週に一回清拭する。
3)患者回路は使い捨てであり、再滅菌しない。
6.欠点
 操作体系がやや難解で、充分に説明書を読まないと理解できない。
 
図III-34-1     O'NYX plus外観
図III-34-2a,b    O'NYX plus構造(ブロアー、ニューマティック)
図III-34-3     O'NYX plus操作パネル